林 圭一のFLIP MY MESSAGE Vol.207

牛久沼で感じたこと。

 過日、私はルアマガに連載しておりましたコラム「温故知新」にて日本の釣り文化の奥深さ

 そして、そこに由来した日本のバス釣りは、もはや本家アメリカのバスフィッシングにも

 大きな影響を与えている、という話題について触れました。今月発売されたバサーにも

 同じような話題の特集が組まれていて、興味深く読みました。

 タングステンシンカーやフロロカーボンライン、細部にまでこだわった緻密な造りのルアー達。

 そういった日本発のノウハウや製品が本場を賑わすことに、日本人としての優越感というか、

 自慢したくなるような気持ちを持つのは私だけではないでしょう。

 さて、こうした緻密さ、凝り性に代表される日本人特有の気質は、バスフィッシングを
 日本の風土や環境に適応したものに変化させてきました。
 いや、もっと具体的に言えば、日本の環境に順応すべく進化させられたからこそ、日本の
 バス釣りは長きに渡って隆盛を極める釣りになったのだと思います。
 
 こうした進化を最も象徴的に感じることのできるもののひとつに、レンタルボートの世界が
 あります。貸ボート屋さんが主要な湖ごとにこれだけ充実している、というのも日本ならでは
 なのでしょうが、それ以上に感心するのは、そのレンタルボートをいかに上手に使い切るか
 といった観点から作られる様々に工夫された装備であります。
 
 なぜ唐突にこんな話をするかというと、最近久々に牛久沼をレンタルボートで釣る機会に
 恵まれ、この時ボート屋さんに出入りする人達が実に様々な工夫をこらしたレンタルボートで
 楽しんでおられる姿を拝見したからです。
 はっきり言って今の牛久沼は、ボコボコに釣れるところではなく、ローカルトーナメントの
 成績を見ても0~3匹とそのキビシサは一級品。にもかかわらず、皆さん凝った装備を嬉々と
 して持ち込まれておりました。
 失礼を承知で申し上げれば、最初のうちは「たいして釣れもせんのに、あんたも好きね・・・。」と
 思わなくもなかったのですが、そういう人達と会話したり、自分でもレンタルエレキで
 釣ってみたりするうちに、私なりに理解できるようになりました。
 「うん、これはこれでひとつの世界。ハマるのも分かる気がする。」といった感覚でしょうか・・・。
 バスフィッシャーマンであれば、多くの人がバスボートに憧れ、いつかは所有してみたいと
 考えても不思議ではありません。しかしその反面、バスボートにふさわしい釣り場が私達の
 まわりにそれほど多くないのも事実。そういった環境の中、身近な釣り場を手軽なレンタル
 ボートでバスボートのように縦横無尽に釣ってみたい。こうした思いが日本独自のディープな
 レンタルボートの世界を作り上げているのです。
 これらのノウハウはあいにく欧米へ輸出されることはないでしょう。しかし、まぎれもなく
 日本が誇る独自のバス釣り文化であることを疑う余地はありません。
 
 最近、自分で釣りをしても、人から様々な情報を聞いても多くの釣り場で釣果が伸び悩んで
 いるように感じます。「こんなに釣れなくなっちゃって業界大丈夫かしら?」正直申し上げて
 そんな不安を感じることもありました。件の牛久沼もこの例に漏れません。しかし、そんな
 牛久沼にもレンタルボートを工夫して、こんなに楽しそうにしている人達が大勢いる、その
 ことに改めて気づかされ、何だか少しほっとしました。
 この人達にとってバス釣りの本当に価値とはただたくさんの魚を釣ることではなく、あらゆる
 工夫や研究のプロセスそのものなのです。
 「こういう人達にしっかり応え認めてもらえる、そんなルアーを作っていきたい。」久々の
 牛久釣行から感じた事柄を今週は披露いたしました。

 次回は6月8日アップします。