林 圭一のFLIP MY MESSAGE Vol.233

イミテーションについて考える。(前編)

 ここのところ、ソルティコア・チューブ4.25"を題材にブルーギルカラーについて熱く

 語ってみました。この類いの話を面白く思う方々は、少なくなかったようで、それなりの

 反響がありました。皆さんはどうお感じになりましたか


 さて、この手の話はとどの詰まりバスの餌となっている生き物をどうイミテートするか、

 納得いくイミテーションを作るためにどんな手順を踏んでいるか、をご説明したものです。

 ルアーであれ、フライであれ、こと釣りに供される疑似餌は、そのほとんどが対象魚となる

 バスやヤマメの餌を模しているわけで、フィッシャーマンたる者、正しいイミテーションの

 何たるかを理解しておくのも悪くないことなのかもしれません。


 というわけで、今週は私が思うところのイミテーションについて考えてみたいと思います。


 【見た目のリアルさは重要か

 ルアーないしフライを手のひらに乗せて、ジーっと凝視する。たとえばそれが細部にまで

 意匠を凝らし、作り込まれたストーンフライだったとすれば、ヒゲや脚、腹部の節などが

 忠実に再現されていることでしょう。目まで付いているものもあり、今にも動き出しそうな

 リアルさ。「ウフーン、釣れそう。」と思った方、まだまだですな。

 往々にして人の目で見たリアルさ、細密さというのは釣果に結びつかない、というのが私の

 経験からの感触なのです。人の目から見たリアルさ、細密さは多くの場合、魚を釣るためでは

   なく、人を釣るためのものであるような気がします。
    ↑人の目で見たリアルさを追求し、細部まで作りこまれたストーンフライ
 
【バスの典型的な摂餌行動とは?】
例えば、あなたはバスだったとします。ある日あなたがアシ際でくつろいでいると、ふいに
ザリガニらしきものが目の前に落ちてきました。その時、あなたはきっとこう思うでしょう。
「しめしめ、こんな御馳走にありつけるなんて今日はツイてる。」
しかし、そう思う一方で、賢いあなたはこんな不安に駆られたりもします。
「いや、待てよ。これは確かに食べても安全な本物のザリガニなんだろうか…。」
こうした葛藤の中、あなたが取る行動はただひとつ、"ジーっと凝視して本物かどうか
見極めようとする"という行為です。もちろん本物だったら食べよう、というのが前提条件。
さて、これはあなたが“野性味”よりも“思慮深さ”に富んだ考えを持っているからこその
行為であることにお気づきでしょうか。
本来の野生をこのような“思慮深さ”で生きるということは、あまり得策ではない場合が多く
時には獲物を取り逃がし、餓死という最悪の危機に瀕することだって十分あり得るリスクを
はらんでいます。
だってそうでしょう?もしこれが本物のザリガニだったら、"ジーっと凝視して本物かどうか
見極めようと"している間にピューンと跳んで逃げられているからです。
 
このように、もともと野生というものは、食う方も食われる方も命がけの世界であり、"思慮深さ"
というものの優先順位は意外に低いものと考えていいでしょう。
バスの摂餌行動についても、一部例外的にこのような"思慮深さ"が見られることがありますが
(重いフィッシングプレッシャーがかかっている、スポーニング時で通常の摂餌行動ではない等)
ほとんどの場合、"思慮深さ"より餌を確実に捕らえる"俊敏さ"が優先されるのが普通です。
私達釣り人は、こうしたバスの摂餌行動を"リアクションバイト"という言い方で実感しています。
何らかの例外的なファクターが作用しない限り、バスを含んだすべての肉食魚はこのような
摂餌行動を取っています。
 
では、こうした摂餌行動、習性を持つバスを含んだ肉食魚に対して効果的なイミテーションとは
どういうものか、来週さらに考察を深めてみます。

 
 次回は12月14日アップします。