林 圭一のFLIP MY MESSAGE Vol.236

年頭のご挨拶らしきもの。

 「私は今後とも製品そのものやその作り方、あるいはケイテックという会社内部のオペレーション

 に至るまで、細部にこだわっていこうと考えています。基本に忠実で、細かなことにも労を

 厭わない堅実さが発展への唯一の道であることを年を追うごとに痛感させられるからです。

 今、目の前にある小さなことをおろそかにして、大きな遠くの夢を語っても、それは単なる

 絵空事に過ぎないのでしょう。」


 これは、昨年末に掲載した前回のコラムに私が盛り込んだ一節です。」

 何だかしたり顔でエラそ一にと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本当のことです。


 さて、私は毎年正月にはゲンを担いで都内の決まった神社を参拝しております。

 いわゆる初詣というやつですが、特定の願い事をするというよりも前の年をつつがなく過ごせた

 ことへの感謝をするようにしています。家内安全から始まり、厄よけ祈願、商売繁盛、受験合格

 恋愛成就にいたるまで、言い出したらきりがない人々の願いを何千、何万の単位で引き受けるのは

 いかにカミさまであってもしんどいのではないか、と思うからです。

 そして、基本に忠実に日々の小さなことを大切にする年にしよう、と最後に祈念するくらいの方が

 かえって透明感のある祈りでカミさまの目にもつきやすく、御利益倍増って、やっぱ私も欲の

 かき過ぎなのでしょうか。


 さて再び話題は変わり、仕事始めの日、新たに届いたバスマスターマガジンをパラパラと

 めくっていた私の目に飛び込んできた記事がありました。

 アメリカのベテランプロ、デニーブラウアー(Denny Brauer)B.A.S.S.トップカテゴリーからの

 引退を告げるそのインタビュー記事に私は釘付けになったのです。

それは私がバス釣りを始めた当初より活躍を続けてきた氏のキャリアや、シャローカバーでの
フリップを得意とするといった氏のフィッシングスタイルに親近感を覚えていた、といった理由
もさることながら、その短いインタビューの中にある氏の言葉に強く共感したからに外ありません。
 
32年に及ぶプロ生活の間、傷んだ体(脊椎や膝)に幾度となくメスを入れ、続けざまに開催される
トーナメントへの出場が困難になったこと、自身としての最高の思い出は1998年クラシックでの
勝利であることなど、興味深い内容の中に「若いアングラー達へ」というメッセージがありました。
 
「プロフェッショナルアングラーという職業もハードなものです。この件に関しては他のあらゆる
職業と何ら変わりはありません。時間をかけ学び、細部にまでこだわらなければなりません。
釣り人としての雌雄を決するのは、様々な小さな事柄を改善していって、それらを大きな成果へと
結実させたいと思う、そうした釣りに対する考え方だと思います。」
 
あ、これって二宮尊徳や松下幸之助、稲森和夫の世界じゃん。
どの道であれ、そして世の東西を問わず、とことんやり尽くした人が着地する地点はかくも
ピンボイントなものなのです。
 
さあ、私も自身の経験則としてこのようなことが言えるよう、細部にこだわり小さきを積み上げ
その先にある成果を信じてやってみよう、そんなことを考えながら今年という年を始めています。

次回は1月18日アップします。