林 圭一のFLIP MY MESSAGE Vol.254

酒蓋(さけぶた)の思い出。(前編)

つい最近、小学校の時のクラスメイトから突然メールをもらい、卒業以来初めて同窓会が開かれることとなりました。「ああ、懐かしい…。」そう感じながら当時のことを考えていたところ、あるひとつのエピソードを思い出しました。今週と来週は、これにちなんだ話題をご紹介しようと思います。


それは今から40年以上も前、私が小学生だった昭和40年代頃のことです。インターネットはもちろん、ケータイもスーパーマリオも無かったこの時代、子供達は、近所の仲間とキャーキャー言いながら遊ぶのが常でした。ローラースケートや缶蹴り、夏にはセミ採りなどその遊び方も様々。まあ、たいがいは学校が引けてから夕飯までの間、何かして遊んでいる、というのが普通だったと思います。


そんな色々な遊びを尻目に、ひと頃えらく流行った遊びといえば「酒蓋」。日本酒の一升瓶についている蓋を使っての遊びであります。これはどういう遊びかというと…、


・酒蓋は、銘柄が書いてある丸いプレート()とコルクの栓(後にこの栓はプラスチックに変わる)より構成されている。

・まずコルクの栓を歯でかみ切ったりして銘柄丸プレートからはずす。するとコイン状になった蓋が残るが、これを使って遊ぶ。

・一緒に遊んでいる仲間がおのおのひとつずつ酒蓋を地面に置く。

・じゃんけん等で順番を決める。

・決まった順番に従いひとりずつ自分の酒蓋を手に取る。

・手にした自分の酒蓋の角を欲しいと思う相手の酒蓋の角に当て、パチンと弾く。

・これで相手の酒蓋が裏返ったら勝ち、裏返った酒蓋をゲットできる。

・不幸にして裏返らなかった場合、何もゲットできず、弾く順番が次の人に移る。

といったものであります。まあ、酒蓋遊び”がどんなものか、その詳細を解説することがこの原稿の本題ではないので、この辺にしておきます。動画で見れば一発なんだろうけれど、説明の足りない部分があったとしたら、申し訳ないこってす。

さて、このように“酒蓋遊び”とは参加するメンバー各自が手持ちの酒蓋の中からひとつずつ出し合い、それを弾いて裏返すことにより取った取られたするゲームであり、ややもするとメンコのようなルールの遊びであります。とは言っても、メンコが相手のメンコを裏返すためには、それ相応の技術が重要で研究努力が必要なのに対し、酒蓋はそのようなテクニカルな部分に乏しく、仮に“取った取られたゲーム”をしたとしても奥行きがない分、早晩煮詰まって飽きてくるといった質の遊びなのです。こうなると“酒蓋遊び”をしていた子供達の興味は、“遊び”から“酒蓋”そのものへと移行していくようです。つまり収集、コレクターとしての興味と言ったらお分かりいただけるでしょうか。
               数え切れないほどの種類。
 
こうなると、いかに仲間が持っていない希少な銘柄の酒蓋を手にいれるか、といったことにその興味は集中します。地元の酒屋に積んである空き瓶を物色しても、手に入れることのできる酒蓋の銘柄には限りがありました。よって夏休みなど、たまに家族で遠出した際などは大きなチャンスで、現地の酒屋で珍しい銘柄の酒蓋を拾い集めることにワクワクしたものです。私達は、こうして手を尽くして集めたり仲間同志で交換したりして収集を楽しんでいました。そんな中、誰もが知っていて、しかし誰もその蓋を持っていない、幻の銘柄があったのです。
 
「雲山」と称するその銘柄は、当時かなり頻繁にテレビでCMを流していたにもかかわらず、誰ひとりとしてその蓋を見た者がいないという、私達の中での伝説のブランドだったのです。
「♪うんざんうんざんホニャラララー(ごめん、歌詞忘れた)♪」というCMソングを皆で歌いながら、「欲しいよな一。」「どこ行きゃ拾えるんだろ?」とあこがれるばかり…。
 
小学生の少年達はあまりにも無力か?と思いきや、私はついにこの「雲山」の酒蓋を手にすることとなります。果たしてその顛末やいかに?
次回後編を待て。

 次回は5月31日アップします。