林 圭一のFLIP MY MESSAGE Vol.296

ケイテックガーデン

ゴールデンウィークも終わり、仕事を再開したところであります。

本来であれば、さあ、また頑張るぞ!!」と意気盛んに臨まねばならないところではあります。

しかし、今年は「はぁ一、また始まるか…。」という、ややもすると疲れた感覚に多少なりとも

さいなまれています。

これまでこのコラムでもご紹介した通り、お蔭様で新たな社屋も完成いたしました。

建てた以上はやろうじゃないか、ということで設備も増強、それに応じて働く人々の数も

増えてまいりました。

この手の話は上を見ても下を見てもキリのない話なのですが、これでもケイテックという

会社にとっては紛れもなく成長の道を歩んでいる、とは言えるでしょう。たかだか零細企業に

毛の生えたような変化でも、私にとってはダイナミックでワクワクしなければいけない事象で

あるはずなのですが…。

ここでひとつ問題となるのは、職場環境が変わり(むろん環境はより整備されているのですが)

会社やその業務に不慣れな新入社員が増えると、現場には戸惑いが広がるということです。

拡大した工場を滞りなく稼働させること、新たな社員に業務の流れや実務を指導すること、

こうした目の前にある事柄に対応しているだけで1日が終わる、私だけではなく多くの者が

そう感じていることでしょう。

「ゲロゲロゲロ、自分で変化させておいて、その変化についていけてね一し。」

というわけで、連休前には何だかおなか一杯になってしまったという有り様。


このような日々を送るなか、私は以前観たNHKのある番組を思い出していました。もう随分前の

ことなので詳細こそ覚えていませんが、イギリスの庭に関する番組で、以下のようなものでした。


①イギリスにはイングリッシュガーデンと呼ばれる伝統的な様式の庭がある。

②そこには自宅の庭を溢れんばかりの愛情と気の遠くなるような手間をかけ育てあげる人達がいる。
③特に高い評価を受けた庭は、ガーデナー本人が望めば特別なガイドブックで紹介される。
 (注;オープンガーデン。詳しくは原稿末尾の補足をご覧ください。)
④ガイドブックに載せられた庭は、毎年決められた1日だけ一般の人達に公開される。
⑤ガーデナー達は、この1日のために年間を通して毎日徹底的に庭を作り込む。
⑥その年の天候等の諸条件を鑑み、日々細心の注意を払って自分の庭がその日にピークを
 迎えるよう、持てるノウハウの全てを注ぎ込む。
⑦しかし、その過程において予想外の天候不順や害虫、病気の発生等、様々な事態に見舞われる。
⑧そういった障害を乗り越え、庭はついに完成しハレの日を迎える。
⑨ガイドブックにより、大勢の人達がその庭を訪れる。
⑩ガーデナーは、人々を暖かくもてなす。毎日庭と対話しながら、力を尽くしてきた1年は
 多くの人々が心から自分の庭を楽しんでくれるこの1日で報われ、また新たなる年が始まる。

このようなストーリーを1組の夫婦ガーデナーの1年を追うことで紹介した番組でした。
私は自分にはまったく関係のない分野を扱ったこの番組を食い入るように観てしまいました。
それはこの夫婦の取り組みが、私が日々取り組んでいる会社経営とどこかでつながっているように
思えたからです。

毎日毎日飽くことなく考え続け、少しずつ手を入れていく。そしてじわじわと、にじり寄るように
そしていつしか理想のかたちを目指す。人、技術、品質、設備、職場環境等あらゆる事柄に目を
配り、世話をし続けなければならない点は、まさに庭造りそのものなのです。
もし幸いにして庭をより大きくできるのであれば、せいぜい肥料を施し、新しい苗たちが健やかに
生育できるよう心掛けねばならないのでしょう。彼等がこれまでの庭に溶け込めるよう植栽の
レイアウトにも工夫が必要です。

私は庭造りに関してはまったくの素人です。しかし、こうした門外漢にとってどうでもいいような
ことに熱中する生き方に共感し憧れます。製品というケイテックの“庭”を誰もが目を細め愛でる
ことができるよう、新たな庭造りへの意欲をかき立てなければなりません。
 
補足;オープンガーデンとは個人の庭を一般公開すること。英王室がパトロンとなり1972年に創立
されたナショナル・ガーデン・スキーム(NGS)が発行する『イエローブック』は、英国のごく
普通の個人の庭3500ヶ所以上を紹介したガイドブックで、庭の住所・広さ・特徴・入場料・
お茶とケーキサービスの有無・公開日などが掲載されている。花好きの英国人はリタイアすると、
園芸のできる面積が確保できる郊外に居住する人が多い。夫婦で一日中庭の手入れをしている人も
珍しくないが、庭を公開する家の場合はより力が入る。村全体で公開日を同時にし、大々的な
イベントとなることもある。個人の庭に集められる植物は、家人の個性が強く出て、植物園とは
違った楽しさがあり、英国園芸の面目躍如というべきものになっている。日本でも、オープン
ガーデンを園芸雑誌に告知したり、取材記事が雑誌に掲載されるようになった。

次回は5月16日アップします。