林 圭一のFLIP MY MESSAGE Vol.298

商標権について

 先週はマジガニを語りながら知的財産権」についてご紹介いたしました。

 今週は、この流れをくみ、商標権について考えてみたいと思います。


 ※商標権とは

 商標権は先週もご紹介した通り、知的財産権のなかのひとつに分類される権利で、商標権者が

 所有するブランドを他者の模倣から保護することを目的としています。

 そもそもブランドというのは、たとえばケイテックというような名前さえ付ければ何でも

 ブランドかというと、それは違うはず、と私は思います。

 本当のブランドとは、その名前を聞いただけで、誰もがその品質や洗練、そして先進性に疑いを

 持たないといった信頼の証しであるはずなのです。

 言うだけ野暮というものですが、トヨタやパナソニック、ナイキやシャネルは人も羨むような

 ブランドですし、カップヌードルやコカコーラ、プリウスなどは個別の商品がブランドに

 なってしまった例です。


 こうした世間で認められるようになったブランドは、単に名前を付けただけといったものとは

 まったく次元の違ったものである事は言うまでもありません。そしてこのような本当のブランドを

 所有するに至る道程は、決して平坦で簡単だったわけではない、ということくらい私にだって

 わかります。


 さてここまで話を進めてきますと、企業であれ個人であれ単なる名前をブランドにまで昇華させる

 のは生易しいことではないことがわかります。そしてこうしたブランドは所有者にとっては

 かけがえのない財産であり、その権利を他者に犯されたくないと思うのは当然のことであります。

 このようなことから、日本を含んだ各国において、ブランド所有者の財産を保護するという見地

 から「商標権」というものが認められているのです。

 よく私達は、「登録商標」なる表記を製品広告や製品パッケージで目にすることがあります。これは

 ブランド所有者(多くの場合メーカー企業)が自分達の財産たるブランドの権利を特許庁に願い出て

 それが承認されたという証しなのです。特定のブランドを国をしてその所有者を定め、それ以外の

 者が乱りに使用することを禁じる法律です。これにより、所有者の権利が守られるのみならず、

 消費者が安心して選択できるよう、秩序を保っているということもできます。


 ※フリーライダー

 このように皆が真剣にビジネスに打ち込み、その秩序を国が保つという世の中で、しかし一部には

 楽をして儲けようという不届き者がいることも事実です。

 一見しただけでは分からない程類似したブランドで、粗悪品を売ろうとする“なりすまし”等が

 これに当たります。

 私共が所有するKEITECH」という商標をめぐっても、過去に不快な話がありましたので、今回は

 簡単にご紹介しておきます。


 ある日、突然韓国の法律事務所数件から、ほぼ同時に以下のような連絡が入りました。曰く、


御社ブランドであるKEITECHをキム・ナニガシが商標として韓国特許庁に出願していたことが

 昨日わかりました。これに対し御社として異議を申し立てるご意志があるようであれば、私共

 ホニャララ法律事務所がお力になります。ぜひご検討ください。』


「梨汁ブシャー!!

 当惑と憤りで私は半狂乱になりました。


「コイツらグルか

 その後私は、いぶかってみました。


「もしこれが本当で、かけがえのないKEITECHの名が見ず知らずの輩にかすめ取られるような

 ことがあってはならない。」

 私は冷静に考えました。


「よし、グルでも詐欺でも関係ない。だまされたと思って異議を申し立てよう。詐欺にハメられる

 経験も人生の糧になるに違いない。」

 私は男らしく決意しました。


 その後、とある法律事務所を通し半年以上闘った結果、韓国特許庁はキム・ナニガシの商標出願を

 棄却、私達の正当性を認めたのでした。


「当たり前じゃ!!梨汁ブシャー!!

 私は高らかに勝利宣言しました。


「それにしても詐欺と決め込まないで良かった…。」

 私は胸をなでおろしました。お陰様で、今では韓国においてもKEITECH”は私共の登録商標です。


 特に韓国だけ、というわけではなく、世の中にはこういう人の努力の上にタダ乗りしようと

 する連中がいます。英語ではフリーライダーというこの人達に明るい未来があるとは私には

 思えません。

 プライドじゃ、やり甲斐じゃ、みたいな立派な話以前の問題として、ユーザーに喜ばれる仕事を

 自らのウデと知恵で作っていく、そうした自主独立の精神こそが発展の源となる、私にそう強く

 感じさせてくれた出来事でした。
 

 次回は5月30日更新いたします。