林 圭一のFLIP MY MESSAGE Vol.317

“ワケあり”な仕事をしよう。

以前にも申し上げたことですが、ケイテックは自社工場で製品を生産しています。

製造法の確立といった技術に関する事柄に始まり、機械のメンテナンスや材料の仕込み、

工場で働くパートの方々への指導やシフト管理に至るまで、様々な業務を私を含む数名の

男子スタッフが担当しています。

「その仕事、なぜそういう方法でやるか考えたことある?」

「仕事の意味にこだわらないから、いつまでたっても変われないんだ。」


工場で共に働く若い人達に、私はこのような苦言を呈することがあります。それは、彼らが

私からの指示を受けた際、単に言われたことを鵜呑みにし仕事に取り掛かることがあるからです。


「言われたことを言われた通りにやるだけじゃ、面白くも何ともない。」

「その指示の真意を考え、自分なりのオプション(創意工夫)をつけて欲しい。」


といった類いのことを求めているわけですな、この場合。


こうしたことを求めるのは、時として「酷なことなのか?」と思わないこともありません。

しかし、縁あって共に働く彼等に対し、「そのくらい強く賢い存在になって欲しい。」と願う切実な

気持ちもまた事実なのであります。


さて、それではどうしたら私も含め、より"強く賢い存在"になれるのでしょうか。話を進めるに

つれ、私はそんなことを考えていました。そして考えているうちに、子供のころ父親から受けた

"手ほどき"について思い出すに至りました。


それは、まだ小学3年生くらいだったころ、私は毎日セミ取りに夢中になっていました。

今になって思うと、当時の「セミを取るぞ!!」といった強い気持ちは、現在「バスを釣るぞ!!」と

意気込むそれとまったく変わらないような気がします。まあ、それくらい心底セミを取りたいと

思っていた林少年ではありました。そんなある日、私は父親にひとつの願い事を切り出しました。


林少年;「お父さん…、」

林の父;「ん?」

林少年;「網買って、セミ取り用の。」

林の父;「持ってるじゃないか。」

林少年;「新しいのが欲しいんだ。」

林の父;「なぜ新しくしたいんだ?」

林少年;「今までのじゃダメなんだよ。」

林の父;「なぜダメなんだ?」

林少年;「柄が短くてダメなんだ。」

林の父;「なぜ柄が短いとダメなんだ?」

林少年;「柄が短いと届かないんだよ、セミに。」

林の父;「でもこの前もセミ取ったんだろ?」

林少年;「アブラゼミはね…。でもミンミンゼミは高い所にいるからダメ。」

林の父;「……。」

林少年;「高い所にいるミンミンゼミ、ボクは貴重なミンミンゼミが取りたいんだ!!


この後、父は長い柄の網を買ってくれました。

もし、あそこで「○○ちゃんも持ってるから。」的な安易な発言をしていたら私のアミは
短いまま
だったのかもしれません。

私が何かをせがんだ時、あるいは何か失敗した時、父はいつもそのワケや原因をとことん私に

問いました。よって私も子供なりに父にそれなりの物言いをしなければならなかったです。

なぜ、そうしたいのか、なぜ、そんなハメになってしまったのか、常に私に考えさせた父の

"手ほどき"によって、いつしか私はすべての物事とその結果には必ずワケがあることを

理解するようになりました。


このような考え方を習い性にすることが先に申し上げた"強く賢い存在"への唯一のルートで

あることは、自分の経験に照らしても疑いようのない事実かと思います。

「なぜ?」と考えることそのものが、物事の真因や意義を見い出せる唯一の行為だからです。

その仕事が本来持っている意味やワケにこだわり、それがゆくゆく世の中でどのような役に

立つのかイメージすることが大切です。あらゆる仕事に対するやる気、やりがいというものは、

自分の仕事が何らかの形で世の中の役に立っていると感じることから生まれるからです。


こうしたものの種となる感覚を私に仕込んでくれた父には大いに感謝しています。

だからこそ、共に働く彼等にもこの感覚を身に付けて欲しい、というのが私の素直な感情です。

コラムの体をとりつつ、自分とこの若い衆に物申す、今回はそんな話題とさせていただきます。


次回は1017日アップいたします。