林 圭一のFLIP MY MESSAGE Vol.363

クリエイティブに働くために必要な5つの要素。その1

皆さんこんにちは。今週もご愛読いただきありがとうございます。
今週のタイトルをご覧になり、「おや?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
そう、今週と来週の2週にわたり「働く」ということに関する私なりの考えを述べさせていただこうというような趣向であります。
 
言うまでもないことですが、私は日々ケイテックで働いています。そのような中、私と一緒に働いてくれている若い社員の働き方にも日々接していて、彼等がどう考え、どのようなかたちで仕事を進めていこうとするか、大いなる関心を持って見ていると言っていいでしょう。
 
これは、誠に幸いなことであり、かつ感謝しなければならないことなのですが、彼等は皆本当に真面目であり、日々懸命に仕事に向き合ってくれています。こうした彼等の仕事ぶりに触れていると「ぜひ刻々と新たな力を身につけていって欲しい。」と願うような気持ちが私の中に湧いてきます。これは、私のような若い人達を部下として預かる立場の者からすれば至極当然とも言える感覚かと思います。であれば、どのような指標を示しながら彼等を指導したものか私なりに考えなくてはなりません。
 
このようにして、平素の業務を通し彼等と向き合いながら考え尽くした事柄が今回のテーマであります。彼等がよりクリエイティブな仕事に関わり、日々より強く、より賢い人材へと変貌していくために不可欠なファクターとは何なのか、この原稿を書きながら改めて考えてみたいと思います。

 

クリエイティブに働くとはどういうことか。

話を始める前に「クリエイティブに働く」についての定義を明確にしておきたいと思います。
この件に関しては、読者の皆さんにも様々な考えがあろうかと思います。それは皆さんにおかれましても日々働く中、このようなことを自問自答したりする場合が少なくないからです。
このような見地からすれば、私の考えを押し付けるわけにはいかないのかもしれませんが、話を進めていく都合上、私なりの定義をたたき台とさせていただきたく存じます。私にとっての「クリエイティブに働く」についての定義は、以下のようなものであります。
 
「自ら考え、自ら行動することにより、独自の価値を創出すべく創意工夫や努力を怠らない、そのような意識を高めて働き続けること。」
 
というようなものになろうかと思います。この場合の「独自の価値」とは、それそのものが顧客や取引先、また自身が所属する組織や会社から歓迎されるようなものでなければならないことは言うまでもありません。また、この定義に関して別の表現を用いるとすれば、
 
「自身がその世界において替えのきかない人間となれるよう、意識を高めて働き続けること。」
 
と言っても悪くないのかもしれません。
  
さて、ここまで話を進めてきたことで、ようやっと本論を展開する下地が出来上がったように思います。では、さっそく「クリエイティブに働くために必要な5つの要素」、そのひとつ目からご紹介させていただきます。
 
要素1;常 識
独創性に富んだ仕事をすることにより、多くの人達に良い影響を与えたい。そのように心から願うのであれば、まずは足元の基礎固めから考えていくべきだと私は思います。ここで言う「常識」とは、かなり多岐にわたる事柄の集合体なのですが、ひとつひとつはそれ程難しいものではありません。では、どのようなことを「常識」としているかというと
 
・明るく誰とでも挨拶を交わすことができるか、に代表されるような日本人としての道徳観。
・読み、書き、算盤。義務教育プログラムを基準とした基礎学力。
・中国経済が低迷するとなぜ為替は円高に振れるのか、といった社会の仕組みに関する雑学。
・この人は私に何を求めているのか、相手の心情やニーズを汲み取る力。他者への配慮。
 
といった事柄を指しているとお考えください。
「なんだ、それっぽっちのこと。我々をバカにしてるのか?」
などと怒らないでいただきたい。これとてきちんと身につけ、毎日の生活の中で有効に活用していくことは決して簡単なことではないと思うのですが、いかがでしょうか。
 
さて、ではなぜこのような常識を基礎として重要視するのか、次はその理由について申し述べていかなければなりません。
まず、独創性に富んだ仕事を手掛けそれを現実のものとしていくためには、そういった優れたアイディアに想いが至ったり、そのアイディアの具現化を前提とした周到なプランニングが必要です。また、そうしたプランニングに基づいて仕事を進めていくうちには、計画通り事が運ばず軌道修正や方針変更を余儀なくされる場合も少なくありません。アイディアの立案、周到な計画、様々な試行錯誤。こうした諸々の事情を凌ぎ、前進し続けるために必要とされる能力にも色々あろうかとは思います。決して諦めない強い意志、なんて思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。このような中、私が最も欠かせないと感じる能力はと申しますと、それはもう迷いもなく「考える力」ということになろうかと思います。
虫眼鏡で太陽光を集め、それで黒く塗った紙の1点を焼いていく。うまく光を集約させることにより、徐々に紙が焦げてスーと煙が立ちのぼる。これと似たニュアンスで自分の思考を集約させスーと立ち上がってくるあらゆるアイディアに耳を澄ます、こうした集中力のある密度の高い思考がクリエイティブな仕事を成し遂げるためには不可決なのです。
 
どんなに独創性に富んだ仕事を目指すのだとしても、そうした仕事を始めるには動機が必要であることは言うまでもありません。それは、顧客を筆頭とした他者からのニーズを汲み取る行為に他ならず、ここでも他者への配慮といった常識が試されることになります。またニーズを捕らえ、そこから考えを深めていこうとする際にもまずは常識を逸脱しない範囲で考え尽くすことが重要です。どんなに独創的なアイディアを立案しても、それが常識からかけ離れたものであるとしたら、多くの人から受け入れられることはないでしょう。せいぜいひとりよがりとか、絵空事と言われ信頼を失うのがオチです。
 
このように、いかにクリエイティブに働く、独創的な仕事をすると言っても、その根幹は常識的なところにある、ということができます。万が一、非常識な独創性が評価され、多くの人々に歓迎されるとしたら、それはきっと芸術の世界での話。我々ビジネスの世界に身を置く者としては、常識的でありながら独創的といった世界を日々模索すべきなのです。
 

次回は9月25日アップいたします。