林 圭一のFLIP MY MESSAGE Vol.364

クリエイティブに働くために必要な5つの要素。その2

 先週は、より独創的な仕事を豊かに手掛けていくために、私達はどんなことを身につけるべきなのかということをテーマに、そのさわりの部分をご紹介いたしました。なにぶんここでご紹介いたしました「常識」というものが最も重要だと私自身考えている関係上、つい長文となってしまったこと、ご了承ください。
この「常識」なるもの、スポーツに例えるなら「基礎体力」に当てはまるようなもので、基礎体力の充実を図ることなく派手なプレーをしようものなら早晩
怪我でもしてチームに迷惑かけるくらいがオチだよね、といった質の話なのです。
それでは残されたあと4つの要素に関して、なるべく簡潔にご紹介していこうと思います。
 
要素2: 未知領域への挑戦。

自身にとっては未だ未知の領域や技術に対して高い関心を寄せ、失敗を恐れず積極的に挑んでいくこと。自分の職能を伸ばし、また職域を広げることにより、ゆくゆくは付加価値の高いクリエイティブな仕事を手掛けたいと思うのであれば、いかに多岐に渡った「挑戦」を若い頃からしておくか真剣に考えるべきだと私は思います。「失敗を恐れて何もしないよりも、何かをやって失敗したほうが良い。」このような意味合いの言葉は、幾人もの経営者が口にし、多くの著書で紹介されていますが、私も正にその通りだと思います。結局のところ、私達が自身の力を伸ばしていくためには、新しい何かに挑戦しそれを成し遂げた時の感動、あるいはあいにく失敗してしまった際の悔しさ、そういったものを生きた経験として貯め込み、その後に生かすくらいしか手段としてないわけで、ノウハウ本で読んだとか先輩に教えてもらった程度のことで分ったような気になられても仕方ない、というのが現実であります。
それがスポーツ選手であれ、老舗と呼ばれる商店や企業であれ、長期に渡って実績を残し続ける人達というものは決して現状に満足することなく、常に時々に合った新たなプレースタイルを模索するものだと思います。新たな物事に積極的に挑戦し、試行錯誤という経験を積み重ねていく。こうしたプロセスのみが個人の能力を引き上げ、仕事に対する勘のようなものにまで磨きをかけることができる唯一のルートなのだ、と私は考えています。
要素3: 考え尽くす。

自分にとって未知の物事に関心があり、常にもっと知りたい、もっと良くしたいと考えることのできる人は、もうそれだけで価値のある独創的な仕事を豊かに楽しむだけの才に恵まれていると言うことができるでしょう。後は世の中の常識にのっとり、どのような所作で考えを深めながら仕事を進めて行ったら良いのか研究してみることかと思います。この辺の話になりますと、その人その人が持つ性格や個性によるところも大きく、一概にこれが正解と短絡的に言い切れるものではありません。よってここではこれまで私が感じてきた原則論と言うか、考え方の基礎に関して触れておこうかと思います。
 
考え方1: 限界まで考え尽くす。
「もうこれ以上は無理」というところまで考え続け、自身の考えを深掘りする。「成功した時の様子が明確にカラーで見えるようになるまで考え続ける」とは稲盛和夫氏の表現であるが、それ程までに考え尽くすことが大切だと思う。
考え方2: 客観的尺度と自身の経験則に基づいて考える。
なるべく根拠のある数字等を織り交ぜながら客観的に考える。考え続けるうちに思い込みや思い入れ、自己満足等が入り込む場合があるので注意する。また良い考えが浮かばないからといって安易に書物や他者に答えを求めることなく、あくまで自分の経験則を主体に考え尽くす。
考え方3: なるべくシンプルに考えをまとめる。
何らかの問題やテーマを解決あるいは改善するために考えを掘り下げていく際には、可能な限りシンプルでわかりやすいものになるよう心掛ける。他者から見てわかりにくかったり、事細かに注釈が入るような"頭でっかち"な考え方は、たいがい企画倒れで終わることが多い。
 
このように決して諦めることなく考え続けていると、ある時ふと何かのきっかけで通電したかのように妙案が浮かぶことがあります。このような現象を「知恵の虫が這い出る瞬間」と言うそうですが、まあうまく表現したものだと思います。様々な問題をいつも頭の片隅に置き、何となく考え続けている。本当に良い考えを生み出す人達は自身をこのような状態に置いているものだと思います。「さあ会議だ、皆で考えよう。」などと言ってにわか仕込みで考えてみたところで良い考えを熟させていくには至らないでしょう。「考え尽くす」とはこのように地道で時には孤独とも言えるプロセスです。それだけに個々が抱く仕事への愛着や執念を映し出す指標ともなり得る価値のある所作なのです。
おっとっとっと、やはり頭にある内容をきちんとお伝えしようと思うと、どうしてもある程度長文となってしまいますな。というわけで、予定を少し変更させていただきまして、この続きはまた来週にいたしたく存じます。

次回は10/2アップいたします。