林 圭一のFLIP MY MESSAGE Vol.41

2009年最初のコラムです。

新年おめでとうございます。
と、形式的に言ってみるのですが、何だか冴えない年末年始であります。
私自身は家族と集い、テレビ見ながらダラダラ食い続けるといった典型的な日本人の正月を
過ごしただけで、特に何も申し上げることはございません。
ただ、その見てるテレビの内容の暗いこと暗いこと…。景気の減速だの、定額給付金だの
そして何よりもリアルな暗さを醸し出しているのが、派遣従業員を中心とした失業者の激増
であります。こんなにも簡単にそして急激に弱さが露呈するわけですから、経済大国そして、
ものづくり大国ニッポンも随分ともろいものだと思わざるをえません。

このいわゆる"派遣切り"の問題、もちろん企業が生身の人間をモノのように扱った安易さは
非難されてもしかたないと思います。しかし、そういった会社と人との無気質な関係を良しとし、
責任を負わなくてすむことを""と考えた多くの働き手にも問題があったのだと思います。
私も小さいながら会社を経営する者として、身につまされ、考えさせられる出来事です。

正月の間、このようなニュースを見、暗くなりがちな私にとって、ひとつだけ気持ちを
浮き立たせてくれるテレビ番組がありました。
NHKで1月6日の夜8時に放送された「もっと知りた一い!ノーベル賞」という番組です。

この番組は昨年ノーベル賞を受賞した3人の科学者、小林、益川そして下村の各氏を迎え
中学生から大学院生といった年代の若者が各氏に質問を浴びせる、といった趣向です。
色々な質問とそれに対する答えを聞いているうちに、私はこの番組に引き込まれていきました。
それは質疑応答の内容もさることながら、各氏が子供達の質問に正面から向き合い、決して
はぐらかしたりせず、真剣に答えている姿を見たからです。また、平易な言葉で語る内容は
基本を重んじたものばかり。偉い先生だからといって、難しい話に終始したり奇っ怪なことを
言ったりすることがまったくないのです。

番組を見た際の記憶に頼って書いていますので表現は異なっていますが、以下のような
質疑応答が印象に残りました。私なりの解釈を列記してみます。

質問;理数系の科目が苦手で困っています。
答え;苦手だろうと必要最低限基本と呼べるレベルまではマスターしないとダメ。
   どんな分野の学問や仕事であれ、その単一分野のみを修めれば成就するというもの
   ではない。自分は無論理数系だが、一定以上の国語力が無ければ他人の理論を理解
   することはできないだろうし、自説を広めていくこともできない。

質問;先生のような独創的な実験はどうしたらできるのか、そのコツを教えて欲しい。
答え;実験とはまさに試行錯誤そのもの。何十、何百の失敗があった後ひとつだけキラリと光る
    ものが出てくる。人はその光りを見て"独創的"と言うが、その陰にどれほどの地道な努力
    があろうことか。それを"コツ"みたいなものでショートカットしようという考えはムシがいい。

質問;好きなコのことを考えると勉強が手につかず成績が落ちて困っています。
答え;好きな女性と付き合うのも、勉学に励み知識や教養を身につけるのも、あなたの人生を
     良くするための行為という点では同じ。それをそれぞれ全力でできないというのはおかしい。
     努力不足の口実に過ぎない。

と、まあこんな調子です。永きに渡りひとつのことに取り組み、その分野を極めた人達だからこそ
基本の大切さや地道な努力の尊さを知っている、よって物事をいい加減に扱うことができないんだ、
と感じ入りました。

私もバス釣りにハマって30余年。ついにはワーム工場を経営するところまできています。
今後とも上記したような領域に少しでも入れればと願って止みません。キラリと光る何かを
見つけるために、失敗を重ねながら努力していこうと思います。

好きであるから続けられ、続けているから深くできる。番組で醸し出されたこのような感覚を
多くの人達が持つならば、"派遣切り"のような不幸な問題もおのずと小さくなっていくのかな?
なんてことを考えた今年の正月でした。
 ケイテックの社屋から見える新年の富士山。2009年という年が皆さんにとってこのようなスッキリ
 晴れわたったものになりますように。

次回は1月16日アップします。