セクシーインパクト・フィネス5.5”(5.5XF)、量産前の最終調整。
これまで当コラムでその開発経緯をご紹介してきましたネコリグ用5.5XF。
私をして満足いく出来、そして量産に向け準備が進む中、新人ヒラオカがポツリとひと言。
ヒラオカ;「これ、もう少し硬い方がエエんとちゃいます?」
林 ;「えっ?これだけ試し、ようやく決めた仕様にケチつけるんかい。」
ヒラオカ;「いえ、めっそうもない。ただ先週琵琶湖で使って、ふと、そう、感じただけ、
ですわ。」
林 ;「うむ、しかしこのように熱心な若者の声に耳を傾けることも肝要じゃ。」
ヒラオカ;「……。」(無言でうなずくヒラオカ)
林 ;「どう思うね、マジ君や?」
マジ ;「……。」(目を閉じ熟慮に入るマジ)
林 ;「ならば皆で試しに行こう、チョロっと近場に。」
ヒラオカ;「……。」(無言でうなずくヒラオカ)
と、いうわけで12/5(日)、3人は精進湖に向かったのでした。
持参した試作品は、これまで“決定”とされていた仕様とそれより硬いサンプル3種類。
これらを風のない、静かな湖面で岸からじっくりと試します。
[試し開始後約30分]
林 ;「柔らかいのでいいんじゃね一の?」
マジ ;「……。」(まだ決めかねるマジ)
ヒラオカ;「いっちゃん硬いのがエエと思いますね、ボクは。」
[試し開始後約60分]
林 ;「ボトムを這わせるんだったら、硬いのもアリか?」
マジ ;「硬いのも悪くないっスね。」(揺れるマジ)
ヒラオカ;「……。」(見切ったとみえて、試すのをやめマジ君の様子に見入るヒラオカ)
[試し開始後約90分]
林 ;「……。」(いよいよ分からなくなってきた林)
マジ ;「総合的に見ると、ボクは硬いのですかね。」(マジ陥落)
ヒラオカ;「……。」(無言でほほ笑むヒラオカ)
[試し開始後約120分]
林 ;「ボトム上であれば硬いの、中層を泳がすなら柔らかいのっつ一感じ?」
マジ ;「霞では間違いなく硬いのがイイですよね。」
ヒラオカ;「柔らかいのは、ボトム上でたわみ過ぎて不自然やと思いますが…。」
[ここでマジ・ヒラオカ共に決め手のひと言]
マジ・ヒラ;「昨今のネコはピンでボトムをジクジクやるものです。」
確かに5.5XFテスト期間中に上げた釣果のほぼすべてが、ボトムをジクジクやる、
ないしは着水後のフォールで釣る、といった方法でもたらされていました。
よって、ここはボトム上での感覚に重きを置くのも悪くない…。
最終試し開始後約180分、12月5日の正午、ついに林も陥落。5.5XFの最終仕様が正式に
変更された瞬間でした。
一見微妙な差に見えるが、水の中でアクションさせるてみるとその差は大きい。
「それにしてもナンだ、ネコリグワームには、かように主観的かつ情緒的な側面がある。
陥落こそすれ私はこのような思いに包まれながら帰路についたのでした。