イージーシャッド(Easy Shad)は改名いたします。
長らくイージーシャッドと呼びながら開発を進め、このほど8月の発売に向け量産に
入ったこのワーム。さあ、明日からパッケージング(袋詰め)のプロセスも始まるぞ、
という6月29日の夜遅く、突如このワームの名前を変えなければならない事態に見舞われ
ました。今週は、その顛末の一部始終をご紹介したいと思います。
マジ:「林サン…。」
6月29日の夜、事務所のパソコンを見入っていたマジ君が静かにつぶやきました。その声
には、静かなれど明らかに狼狽の色合いがにじんでいます。平素、冷静沈着なマジ君が
この手の声色でつぶやく時に限ってろくな話ではありません。その静かさが不気味です。
林 : (嫌そうに)「なに?」
マジ:「ちょっと、これ見てもらえますか。」
そう言いながらも、マジ君の視線はパソコン画面に注がれています。
林 :「だから、なに?」
私は渋々パソコン画面を覗き込みました。
林 : 「ゲゲッ!!」
マジ:「そうなんです。出ちゃってるんですよね、イージーシャッドというワームが。」
その画面には、米国「ロボワーム(RoboWorm)社」のサイト。そしてそこにはデカデカと
“EZ-SHAD(イージーシャッド)”の名前とその製品が写し出されていたのです。
林 :「くわ一っ、ロボワーム、やってくれるじゃね一か!!」
マジ: 「……。」
私は、ほとんど八つ当たり、言いがかり的に意味不明な発言をしました。かねてより
私は、この“イージーシャッド”という名前をことのほか気に入っていました。それは
この企画が結構イージー(シャッドインパクトとスイングインパクトを合体させただけ)、
短期間で完成した開発がイージー、そしてゆっくり巻くだけで釣れてしまうところが
これまたイージーで、イージーなシャッドだったからです。それがもうすでに使われて
しまっている…。こうなってみると、私にとってその名前は一層輝きを増し、手放すのが
惜しくなってしまうものです。
林 : (このままばっくれてイージーシャッドを名乗ることは)「やっぱダメかね一?」
マジ:「ダメでしょうね。」
林 :「あんま、このワーム見かけないみたいだけど、それでもダメかね一?」
マジ:「アメリカではわからないですよ。」
林 :「ロボは“EZ”、ウチは“Easy”。つづりが違ってもダメかね一?」
マジ:「カタカナにしちゃえば同じっスからね一。」
林 : (理屈ではわかっていても諦めきれず)「やっぱダメなんだろうね一?」
マジ:「ですね一。」
というわけで、急遽名前の変更を余儀なくされた2人。登録商標に触れるだなんだ以前の
問題として、やはり人様が先に使っているものを(知らなかったとは言え)結果パクッては
いけません。
それにしても、不幸中の幸いだったのは…、
①まだパッケージング開始前夜だった。品名シールは社内で印刷しているので、間に合う。
②雑誌宣伝もまだ出ていなかった。データを社内で校正すれば間に合う。
③そして何よりまだ発売していなかった。発売後にこういった件が発覚するのは最悪。
自分のうかつさを反省しながらも、ホッと胸を撫で下ろした私なのでした。
さて、それではどのような名前にしたことか。2人は眠い目をこすりつつ考えだしました。
林 : 「イージーは生かしたいものだ。イージーをキーワードに宣伝も作ったワケだし…。」
マジ: 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
林 :「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
マジ:「イージーフラッシャー!!」
林 :「ダメ、プロレス技みたいでおかしい。」
マジ:「イージースイマー!!」
林 :「悪くないけど、音感がイマイチか?」
マジ:「スイングシャッド!!」
林 :「あ、イージーが消えたね。いくら合体モノだからってね一。他とまぎらわしいし。」
マジ: 「・・・・・・。」
そこに工場の仕事を終えたヒラオカが。
ヒラオカ:「ほな、イージーシャイナーでエエんとちゃいます?」
林・マジ: 「グッジョーブ!!」
というわけでイージーシャッドはその名を改め、「イージーシャイナー」とさせていただき
ます。まっ、変わり映えしないと言えばしないのですが、音感、親しみやすさ、そして何
よりも製品の体をよく現していると思いますので。
林 :「フッ、名前なんかより中身で勝負よ、中身で。」
とうそぶいてみたものの、本当に製品ネーミングは難しい。