ウェルカム!! 岩佐君。
このたび私こと林は、長年の友、岩佐潤史朗君を(株)ケイテックに迎え、共に社業に
遭進するとともに、多少なりともバス業界のお役に立つべく努力いたしますことを
ここにお約束します。
彼、岩佐君と私との出会いはかれこれ25年程前、私27歳、岩佐君15歳くらいの頃でした。
当時、私は(株)ティムコに勤務しながらバスプロのはしりのような感じでトーナメント
活動をしていました。毎年開催されるフィッシングショーでは、ティムコブースで色々な
お客さんと歓談したり写真を撮ったりするのが常。年に一度、平素なかなか会えないお店
の方や私を応援してくださるユーザーの方々と接することができるこの機会は私にとって
本当に有意義で楽しいものでした。
フェンウィックロッドの使い方や選び方、フリッピンのやり方、牛久沼の釣り方……。
そういった様々な釣りの話を聞かれるがままに話し続ける、その年もこうした“バスプロ
活動”に勤しんでいた私。ふと気づくと、優しそうで“フニー”とした少年が傍らで私の
話に聞き耳を立てています。スッと眼を会わすと、サッと目線をそらすシャイなヤツ。
結局その少年は土曜日曜の両日、ほとんど私の側に居たにもかかわらず、ついに一言も
交わさずに雑踏の中へと消えたのでした。
「何と奥手な…。」そう思いながらも何もしてあげられなかったことに若干の後悔を感じた
ものでした。
それから1年が過ぎ、また次のフィッシングショー。私が例のごとく“バスプロ活動”して
いると、また居るじゃありませんか、あの優しそうで“フニー”とした少年が。しかも
やはりシャイで奥手な雰囲気そのままに。「今こそ去年の借りを返す。」そう思った私は、
彼と食事をし、釣りの約束までしたのでした。
自分が打ち込んでいることに目を輝かし、それに寄り添ってくれる。それが誰であれ、
たとえ“フニー”とした少年であれ、私にとってはとても大切な相手だったのです。
ハイッ、賢明な読者ならこの少年が誰だか、もうお分かりですね。そう、これが岩佐君。
その後、私達は長年の旧交を温め続けてきました。しかし付き合いと仕事は別物と考え、
またケイテックという会社の実力に自信を持てなかった私は、これまで彼を誘うことは
しなかったのです。
なのになぜ今彼を迎えたかって?それは、心で仕事をする新たな仲間が欲しかったから、
と言ったらかっこつけ過ぎでしょうか。だいたい今日日スキルだのモチベーションだの
こざかしく言う風潮があるようですが、私にはいっさい関係ありません、そんなもの。
結局のところ最後は、心込めるかどうかなんですよ、世の中は。誠実なこと、夢に向かい
弛まず日常を積み上げていけること、こうした“心”の問題抜きに職能や成果を語ることは
耕さず肥料も与えない田畑で作物を育てるようなものだ、私にはそう思えるのです。
入社してまだひと月の岩佐君。まだまだ見習中と言っても良いでしょう。しかし、私は
彼の立ち振る舞い、先輩諸氏の仕事に注ぐ眼差し、そういったものの随所に“心”を
感じます。彼の今後の活躍を楽しみにしながら、こういった人達と過ごせる日々に心から
感謝したくなる私なのです。