嬉しい知らせ。
「林さん、グッドニュースです。」
マジ君が何やら嬉しそうに私のもとに駆け寄ってきます。
「なになに?セブンイレブンで景品でも当たったの?」
「いえいえ、そんなことではなく、これ見てください。」
気がつくと、彼の手にはバサー7月号。
「これ見てください、きてますよね一。感動でウルウルザザーンですよね一。」
「おい、勝手に感動するな。オレが読むまで感動するな。」
それはバサー7月号142ページ、雨貝健太郎氏のバスマスター・エリートシリーズのレポート。
その文章と写真、選手の戦略や心の内面にまで踏み込んだ内容に私も毎号熟読している連載です。
「ここ、ここ読んでください。」
「わかったからオレが感動するまで感動するな。」
そこには、スイングインパクトシリーズが雨貝氏をして意外なほど多用されていること、使って
いる選手達から高い評価を受けていること、今回のテーブルロック戦で優勝に貢献したことが
レポートされていました。そして最後に「筆者はケイテックの回し者でも何でもないのだが、
日本人として誇らしい気持ちだ。」とまで書かれていたのです。「ジワワワワワワ、ザザザザーン。(林の感動音)」
「それではボクも、ザザザザーン。(マジの感動音)」
私は雨貝氏と面識がないわけではなく、ずっと彼の仕事を楽しみにしてきました。今回、ほめて
もらったから言うわけではなく、彼のこの業界を愛する気持ち、そしてだからこそ描ける独特の
世界に敬意と共感を覚えていたからです。雨貝氏にはこの場を借りて深く謝意を申し上げます。
「まさか、自分の作ったものがこんなになるなんて…。」
この先さらにワクワクできることがあるのかしら?こうした期待に胸をふくらませながらも
これが今の私の偽らざる心境です。
私がまだ大学生だった30年以上前、私はなけなしの小遣いで高額なアメリ力製品を買いあさり
バス釣りを楽しんでいました。それはそれで本当に実のある有意義な時代でした。
そして現在、その立場は大きく変わり、このような状態にまで進展しているのです。
釣りを研究する、ものづくりを追求する、開発をする、生産管理をする、このコラムを書く…。
こうした無限とも言える営みを繰り返してきたからこそ、今こうしていられるということは
紛れもない事実です。コツコツ積み上げる以外方法のないことは、もはや理解しました。
「ウォー!!、俄然やる気出ちゃったな一も一。」
雨貝氏のレポートを読み終え、しばし感慨にふけった私は、勇ましく叫びました。しかし正直、
腹の底では、なお安心できない自分がいます。きっとどこまでやっても「これでよし!!」という
領域には至らないのでしょう。
「あの頃がピークだったよね…。」
将来的にこんなグチをこぼすことがないよう、改めてフンドシを締めなおさなければなりません。
少しずつ歩を進め、その見える景色が変わるにつれ、私の中ではそのような思いが強くなって
いきます。まずは今、この現実に感謝し、目の前の物事を丁寧に扱う。こうした取り組みの
中にこそ明るい未来の種がある、ようやくそのことを信じられるようになった気がします。
次回は6月6日更新します。