ポークよもやま話 その2
今週はこれまでに私が愛用したポークラインドとそのブランドについてのエピソードをご紹介
しようと思います。もしかすると、今回ご紹介する3つのブランドのうちアンクルジョッシュ
以外の2つはすでに姿を消してしまっているのかもしれません。
アンクルジョッシュ
言わずと知れたキング・オブ・ポークブランド。それはもう30年近く前の話ですが、私は1度
だけアンクルジョッシュの工場を訪れたことがあります。ポークラインド工場というと、何か
変な匂いが立ち込めグチグチ、ヌルヌルなのかしら?、といった予断を持ちつつ訪問した覚えが
ありますが、実際はとてもクリーンで衛生的、匂いや騒音の類いも一切無く、とても真面目な
仕事振りが印象的でした。工場自体も住宅街の中に立地し、それでも近隣住民と一切トラブルが
無いことをやや自慢気に説明されたことを記憶しています。
生産方法は、
1、まず皮に脂身が付いたシート(白色)を取り出し、
2、それをローラーのようなものに挟みつつ不要な脂身を削ぎ落とし、
3、そのシートに製品を型取ったプレス型を押し当て、
4、ガッチャンと打ち抜く。
5、打ち抜かれた品物は、その後ブラック、クローダッドブラウン、パープルといった色の液体が
入った水槽に投入され染色される。
といったような工程を踏んでいるようでした。
打ち抜かれた直後の製品は、当然まだ白色で全品がテロテロの柔らかさ。ブラックに代表される
暗色系の製品の中にはカキーンと言うか、ガビガビと言うか、もうすっかり硬化してしまった
物も少なくなく、結構閉口していた私。例えば染色の方法を工夫することにより柔らかさを保持
できないか、とは聞いてみたものの、この辺のことはあまり意に介していないような素振りで
何か不思議な感じではありました。
私が「ポークラインドはジグトレーラーとして極めて有用だ。」と気付いたのは、アンクル
ジョッシュのNo.800スプリングリザード"PUP"という製品を牛久沼で使ったことがきっかけ
だったように思います。当時フリッピングをマスターすべく牛久沼に通い込んでいた私は、
スタンレージグ3/16oz〜7/16ozとNo.800のコンボを多用。結構な釣果を上げていました。
ポークは魚を多少釣ったからといってすぐにダメになるものではありません。むしろひとつの
ポークで数多くの魚を釣ることにより、ポーク自体がこなれてクタクタテロテロになること、
またこうなってくるとポーク本来の艶かしいアクションが醸し出されることをこのころ私は
発見したのです。こうなると"テロテロ1軍ポーク"をたくさんストックしたくなるのが釣り師と
しての素直な気持ちであり、私は牛久沼でブイブイ魚を釣りながら、次々に新たなNo.800を
クタらしたものです。不思議なことに、手で揉み込んだりしてもこの手のクタリ方にはならない
もので、やはりバスの口でホグホグホグホグとやってもらうのが一番だ、なんてひとり秘密裏に
ほくそ笑んだりしていました。
その後私はフリッピングに象徴されるシャローのカバーフィッシング以外にも河口湖や山中湖の
深場の変化をバーチカルに釣るディープウォータージギングを新たに開拓。この手の釣りには
全長が抑え込まれたNo.11ポークフロッグを重用し効果を上げていました。にしてもこのNo.11、
特によく使うブラックやパープルについて言えば、製品の多くが染色時に硬化してしまっており
アンクルジョッシュに関しては常にこの不満がくすぶっていたといえるでしょう。
さて、アンクルジョッシュに関してだいぶ語り込んでまいりましたが、最後に先週イラストにて
昔々、ソーセージ会社にジョッシュ(筆者注: あくまで架空の人物です)というたいそう釣り好きな
あらら、アンクルジョッシュだけで結構な文章量。というわけで、残りの2ブランドについては
次回は10月23日更新いたします。