ライブインパクト発売に至る道程 その①
今から3年以上前の2005年春、釣り雑誌を見ながら私はスタッフのマジ君とダベっていました。
林 ;「最近、このジグヘッドワッキーっつ一の良く目にするね。」
マジ ;「確実に流行ってきてますね。」
林 ;「ジグヘッドをワームのどてっ腹にチョン掛けするっていう感性が許せないんだよね。
美しくないじゃん、そもそも。」
マジ ;「美しいかどうかは別として、釣れるんでしょうね、これだけ取り上げられるのだから。」
林 ;「……。」
マジ ;「まあ、どうであれ、こういった時流に合ったものを研究開発しないとダメなんでしょう
ね、今後は。」
林 ;「……。」
マジ ;「じゃあ、何作ればいいの?って言うと、そこが難しいんですよね。」
林 ;「いっそのこと、ワーム曲げてみるってか一?(J社フリックシェイクを見ての発言)」
マジ ;「……。」
林 ;「要は何でもいいんだろ、細長きゃ。(冗談です)」
マジ ;「……。」
この日の会話は不毛でしたが、ジグヘッドワッキーのような新たなリグや釣り方にフィットしたワームの開発は、当時の私達にとってとても大切なテーマでした。
「開発」というものは、いつの世も、あらゆるメーカーにとって最重要課題のひとつです。
たとえば業績が悪化すれば、「何か画期的な新製品を生み出せ!!」といった話になりますし
業績好調なら好調で、「これを維持し伸ばすためにも今後の開発が大切。」となるものです。
他の人はどうだか知りませんが、私の場合、「さあ、開発するぞ!!」と身構えて良いアイデアが出たためしがありません。
むしろ、テーマを頭の片隅に置きながら毎日を送る、このくらいがちょうどいいのです。肝要なのは、急いでアイデアを捻り出そうと焦らず、しかしテーマは執拗に頭の中に置き続けることかと思います。
決して思い詰めるわけではなく、かといって諦めるわけでもない。そうやって半ば潜在的にテーマや課題を抱え込んでいると、ふと見過ごしてしまいそうな日常からもヒントやきっかけを得て、ゴールに近づけることがあります。
余談ですが、以前何かの本を読んでいたら、トヨタ自動車ではこういった類いのことを
「知恵の虫が這い出る(瞬間がある)。」
と表現するそうです。
さて、本題。マジ君との不毛な会話のあと、私はジグヘッドワッキーというテーマを頭の片隅に置き、考え続けながら「知恵の虫が這い出る」のを待つことにしました。
従来のワームにはない“新しさ”。
そしてその“新しさ”はジグヘッドワッキーというリグにマッチすること。
この2点を考えることしばし、ある日知恵の虫が這い出たのです。
その虫の名は 浮力。
材料の比重を何らかの方法で低くし、水中で浮き上がるワームを作りたくなったのです。
次回予告; 次回は9月5日(金)アップ予定。お楽しみに!!