製品への愛。
私が営むケイテックでは、数年前よりアメリカへの輸出を始めています。現地での販売を
担当するのはマイクさん。今回ご紹介する私にとって大切な人です。
数年前のある日、1通のメールが届きました。差出人はマイクさん。日く…、
「ケイテック製品を愛用しているが、アメリカの製品にはない品質には感心しています。
私見ではありますが、これはやりようによっては広くアメリカで支持されるものと確信
しています。つきましては、私にアメリカでの販売をさせていただけないでしょうか。」
とのこと。
「何者なんだ?」
と思いながらも、私は彼と会話を重ねていきました。この人本気なの?といぶかしく思い
ながらも、やはり自分の製品を理解し褒めてもらえば悪い気はしないからです。
しばらくこうした会話を続けるうちに、私は彼に任せてみよう、と思うようになりました。
マイクさんは、もともと釣り具業界人ではありません。立派な正業(バドワイザービール
工場のプロダクションマネージャー)を持たれ、趣味としてバストーナメントを愛する人
です。
通常、この手の「販売代理店契約」を個人の、しかもサイドビジネス的な人と交わすことは
ありません。かなり異例な、ともすれば非常識と言えることなのかもしれません。
きちんとした会社であるか?強い販売力を持っているか?広いエリアをカバーできるか?
お金はちゃんと払ってくれるか?などを俎上に乗せることが普通で、要は商売上の損得を
比較的ダイレクトに値踏んでいくものです、特に外国との取引では。
「でも、そういった損得勘定だけってなんか“乾いた”感じで好きくないな一。」
商売をする者として甘い!!と言われればひと言もありませんが、私はつい、そう考えて
しまうタイプの人間です。そんな私が「マイクさんでやってみよう。」と決意したのは彼の
次の言葉でした。
細々なりに、でも着実にビジネスをこなしながら、彼はこう言い続けました。
ということです。専業になったらもっと力を出せるに違いない…。マイクさんがそう思い
「私、マイクは今年10月をもって、バドワイザーを早期退職いたします。」
このようなマイクさんからの言葉に触れ、私はついに来たか、と思いました。しかし、